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あなたにとって『美』とは、なんですか?

「あなたにとって『美』とは、なんですか?」

昨夜突然、ウチの奥さんにこんな質問をされました。

なかなかエライ事を聞くものです。(汗

 

子供の頃から美術が好きで、高校時代は美術部の部長。

美術大学に進みデザイナーを経て、今イラストレーターとして絵を描いています。

思えば「美」を成す術(すべ)に囲まれて生きて来たと言っても過言ではないかと…

 

でも、いきなり『美』と言われると、面食らうものです。

さて『美』とは…と考えて、まず浮かんでくるものは

今、自分で描いている絵。ナニを望んで、ナニを求めて描いているか、ですかね。

 

水彩画のテクチュア

 

好んで透明水彩絵の具を使って、水や絵の具をしたたらせて

にじませ、ぼかして描いている。この感じ。

ここに自分の持つ『美』に対する志向性が現れているに違いない。

 

では、なぜにじませるのか。ぼかした色が好きなのか。

この部分は、自分で描いた絵でも、自分で作り出した模様や質感ではなく

自然が作り出した独特のモノだから、魅力を感じるのかもしれません。

 

絵の具は本来、石や土、植物など自然界にある物の粉。

それを水で薄めて紙に塗る。

紙も、もとはと言えば植物からできています。

その紙面に付着した絵の具が乾く際の色むらやシミは

その時どきの偶然で、様々な表情を見せてくれます。

 

例えば金属のサビ。

人工物の金属も、もとは自然の鉱物でそれが長い時間の風化で

朽ちていけば、偶然が作り出す独特の様相を表し出す。

「さびた金属なんて、キタナイ」なんて思われるかもしれませんが

ようく近づいて眺めてみると、その色合いや質感は結構美しかったりします。

 

サビの質感

 

 

私が好んで描く水彩画の質感は、このサビに似ていると自分では思っています。

確かに、鉱物や絵の具が水と自然の偶然性によって変化する様相には

共通点があるのかもしれません。

 

 

そんな訳で、私にとっての『美』とは

「自然が、偶然に作り出す模様かなぁ」と答えました。

 

あなたにとっての『美』とは、なんですか?

 

 

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水彩パレットは、20年モノ

水彩パレット

ご存知のとおり、透明水彩画は絵の具をうすく溶いて使います。

絵の具は、あらかじめパレットに出して固めてから使います。

 

絵の具が少なくなると継ぎ足し継ぎ足し使うので

老舗のうなぎ屋のタレのごとしです。(笑

当然パレットには常に絵の具が乗っているので

水でジャブジャブ洗う事はありません。

ぬれたティッシュで吹く程度。それが何年、十数年、数十年…と経つと

こんなふうに気合いの入った(笑)様相になって来てしまいます。

 

このパレットには、水彩画をはじめて以来、20数年間

数えきれないくらい描いて来た軌跡がつまっているかのようです。

 

 

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ウミスズメは角が生えていてかわいい

ウミスズメ

観賞用としても人気のあるハコフグの仲間『ウミスズメ』を

モデルに描いたキカイ魚です。

もとが大変ユニークなので、絵の仕上がりも大変おもしろい出来になりました。

 

今回は魚の胴体にある六角形の模様に着目。

それらを個々に塗り分ける事で、全体に密度を感じられる絵に仕上がりました。

透明水彩の場合、塗った色面は水の張力で淵が立ち上がります。

そのテイストを利用することで、実際は輪郭線を描いていなくても

ナチュラルな輪郭線がを描くことが出来ます。

 

ひとつひとつ塗り分けていく作業は、大変手間がかかりますが

こののテイストを生かす事が水彩画の醍醐味だと思っています。

 

今回出来上がった絵は10センチ×10センチの小品だったので

ミニイーゼルに飾ってみました。

 

キカイ魚シリーズは、パネル加工した作品なので

こうしたディスプレイの仕方も素敵だと思います。

 

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手描きの原画がおもしろい理由

先日ふと訪れたレンタルショップで流れていた映像に釘付けになりました。

それは『シルク ドゥ ソレイユ』を映像化したDVDでした。

今までちゃんと見た事がなかった『シルク ドゥ ソレイユ』でしたが

「こんな事をやってたんだ〜!!」とびっくり!

その世界観のインパクトに衝撃を受けました。

演劇は、総合芸術であるとよくいわれます。

演劇には、美術・音楽・舞台・装置や衣装メイクなど様々な要素が

集まっていますが、『シルク ドゥ ソレイユ』は、サーカスのような

生身の人体から生み出されるアクロバティックな動きがベースになり

そこに演劇の要素が加わった感じ。

だからSFXを駆使した映画などとは全く違うインパクトが

感じられたのかもしれません。

 

この『生身』の感じって、絵画で言うところの

手描きの原画を見る感覚に似ていると思います。

CGで様々なアプリケーションを駆使して作られた複雑でリアルな画像より

人間がナマで描いたという息づかいが感じられるモノには

「へ〜、コレ描いたんだぁ!」という驚きがあると思うんです。

『シルク ドゥ ソレイユ』をみて、「よくこんなコトやるな〜」みたいな。

 

まあ、私が見たDVDも実際の『シルク ドゥ ソレイユ』を映像化したものですが

CGやSFXでつくられた映像とは違う印象を感じられた、という意味ですね。

 

絵の価値を考える場合、この「へ〜、コレ描いたんだぁ」感って

とても重要かな、って感じます。

絵の向こうにリアルな人間の痕跡を感じられるものには

見る人は強い共感を持つのではないかと思います。

 

私も仕事では、手描き水彩画をベースにはしますが

最終的にはデータ加工をして仕上げて、一枚の絵としての原画が

存在しない作品が多々あります。

どんなに緻密に仕上げた絵でも、プリントしたものでは

イマイチ「伝わらない」感が強いと感じます。

勿論仕事で描く場合は、複製され使用される事が前提だから良いのですが。

 

絵の本来の楽しさを、見る方に感じて頂きたいと考えるとき

手で描くことの大事さを感じた『シルク ドゥ ソレイユ』でした。

 

 

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