タグ別アーカイブ: たらし込み

にじみ、ぼかし、水しみのテクスチュアの活用法

紅葉

機械の魚を描く時、鉄のさびた質感は朽ちた感じを

透明水彩の水しみやにじみで表現すると、しっくり来るという事は

以前こちらのブログでも描きました。

 

しかしそればかりではなく、植物などを描いても

『水しみ』などを上手く使う事で、非常に上手く質感を表現することが出来ます。

 

なぜでしょう。

 

私は、植物の構成する要素の中で、水の占める割合が

大きいからだと思っています。

植物が枯れて行く中で、水分がなくなって行く様子は

いわば絵の具が紙の上でかわいて行く過程そのものではないかと。

 

さびた質感を表現する事も、同じ事が言えます。

水がかわいて行く過程で偶然に生み出される形が

水彩画での水しみなのですね。

 

これは、不透明な(ガッシュや油絵の具など)絵の具で

精密に描写した絵とは違った、特別の味わいを持っています。

実際にリアルに描いた訳ではないけれど、それっぽく見えるという

ユニークな現象を引き起こします。

 

たらし込みで生まれる、このテイストを上手く使うことで

様々なモチーフを独特の美しいテイストで描く事が可能になります。

 

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あなたにとって『美』とは、なんですか?

「あなたにとって『美』とは、なんですか?」

昨夜突然、ウチの奥さんにこんな質問をされました。

なかなかエライ事を聞くものです。(汗

 

子供の頃から美術が好きで、高校時代は美術部の部長。

美術大学に進みデザイナーを経て、今イラストレーターとして絵を描いています。

思えば「美」を成す術(すべ)に囲まれて生きて来たと言っても過言ではないかと…

 

でも、いきなり『美』と言われると、面食らうものです。

さて『美』とは…と考えて、まず浮かんでくるものは

今、自分で描いている絵。ナニを望んで、ナニを求めて描いているか、ですかね。

 

水彩画のテクチュア

 

好んで透明水彩絵の具を使って、水や絵の具をしたたらせて

にじませ、ぼかして描いている。この感じ。

ここに自分の持つ『美』に対する志向性が現れているに違いない。

 

では、なぜにじませるのか。ぼかした色が好きなのか。

この部分は、自分で描いた絵でも、自分で作り出した模様や質感ではなく

自然が作り出した独特のモノだから、魅力を感じるのかもしれません。

 

絵の具は本来、石や土、植物など自然界にある物の粉。

それを水で薄めて紙に塗る。

紙も、もとはと言えば植物からできています。

その紙面に付着した絵の具が乾く際の色むらやシミは

その時どきの偶然で、様々な表情を見せてくれます。

 

例えば金属のサビ。

人工物の金属も、もとは自然の鉱物でそれが長い時間の風化で

朽ちていけば、偶然が作り出す独特の様相を表し出す。

「さびた金属なんて、キタナイ」なんて思われるかもしれませんが

ようく近づいて眺めてみると、その色合いや質感は結構美しかったりします。

 

サビの質感

 

 

私が好んで描く水彩画の質感は、このサビに似ていると自分では思っています。

確かに、鉱物や絵の具が水と自然の偶然性によって変化する様相には

共通点があるのかもしれません。

 

 

そんな訳で、私にとっての『美』とは

「自然が、偶然に作り出す模様かなぁ」と答えました。

 

あなたにとっての『美』とは、なんですか?

 

 

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水彩画メイキング動画第2弾!

水彩画のメイキング動画の第2弾となる『ウミスズメ編』を作成〜公開致しました。

「たらし込み」の技法に加え、ドライヤーで急速にかわかすことで

強い独特の質感を持つ水しみを作り出しています。

通常の水彩画が西洋絵画的なアプローチであるならば

たらし込みを多用し、色面に重きを置いて描く手法は東洋的ともいえます。

 

大和絵や水墨画のような切り口で描く『ぬり絵式水彩画』のメイキングを

是非お楽しみ下さい。

 

また今回は、ミニパネルに水張りをする行程からご紹介致しました。

このやり方を用いれば、いろんな木材やパネルに厚紙をピシッと貼ることが出来ます。

こちらもあわせてご活用頂ければ幸いです。

 

 

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落款(らっかん)に込める、「わび」「さび」のココロ

落款

 

キカイ魚シリーズの作品では、サインに落款を添える事と決めています。

私の水彩画で多用する技法に『たらし込み』があります。

透明水彩で塗った面がかわかないうちに、水や違う色の絵の具をたらし込む技法。

こうする事で、自然に生まれるにじみや水しみがとても複雑で美しく

絵に独特の雰囲気を与えてくれます。

 

この「たらし込み』は、かの俵屋宗達がはじめたと言われ

日本画や水墨画などでも多く使われた技法です。

本来シミとかいうものは、ネガティブにとらえられがちなもの。

それを『美』に取り入れるところは、日本人の「わび」「さび」の

精神に通じるのではないかなどと勝手に思ったりします。

塗った絵の具が乾くまでの時間の経過の中で水と絵の具が作り出す質感は

まさに朽ちて行く美学とさえ感じます。

たらし込みで描くキカイ魚の質感が錆びたように見えるのも

そういった事があるからかも知れません。

 

そんな訳で、キカイ魚のシリーズには落款を使うことにしました。

機械やロボットという現代風のモチーフと、日本古来の

「侘び」「寂び」のミスマッチを楽しんで頂ければ嬉しいです。

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